歯みがきで全身の健康を守ろう!①
|~歯の健康を守ることの大切さと歯を失う原因について~

今回のテーマは、歯みがきについて。食べることは、命を支える大切なこと。体の健康を保ち、おいしく食べるには「歯」の健康が欠かせません。

今回の健康情報は、歯の健康の大切さに加え、歯を失う原因についてご紹介いたします。

よく噛むことの8大効用「卑弥呼の歯がいーぜ」を知っていますか?

80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという「8020運動」をご存じの方も多いと思います。

この8020運動を推進する8020推進財団が「よく噛むことの8大効用」を広く社会に訴求するために作った標語が、「卑弥呼の歯がいーぜ」。噛むことの効用を咀嚼回数の多かった時代の卑弥呼にかけて表したものです。(現代の噛む回数は、食事1回あたり約600回ですが、卑弥呼の時代は約4000回だったと言われています。)

以下のように、標語の文字がよく噛むことの8大効用の頭文字になっています。

こんなにあるよく噛むことの効用

肥満予防

満腹中枢が刺激され、食べ過ぎ防止になります。

味覚の発達

食べ物本来の美味しさを感じる事が出来、味覚が発達します。

言葉の発音はっきり

噛む事で顔の筋肉が発達し、言葉を正しく発音出来るようになります。

脳の発達

脳に流れる血液の量が増え、脳の働きを活発にします。

歯の病気予防

唾液の分泌が良くなり、虫歯や歯周病を防ぎます。

ガン予防

唾液中の酵素には、発がん物質の発がん作用を消す働きがあるとされています。

胃腸快調

消化酵素がたくさん出て、消化を助けます。

全力投球

歯を食いしばることで力がわきます。

よく噛んで8大効用を得るには、歯の健康が欠かせません。歯を大切にすると共に、食事の際には1口で30回噛むことを心がけましょう。

歯の健康の大切さをQ&Aで確認!

以下の内容が正しいと思えば〇、間違っていると思えば×でお答えください。

Q1
ゼリー、ガム、アメのうち最も目の健康に良い食べ物はゼリーである。
Q2
歯で物を1回噛むと、脳に約3.5mLの血液が送られる。
Q3
自身の歯の本数は、健康寿命や医療費に影響しない。
Q4
歯の健康状態は、骨粗鬆症治療に影響しない。
Q5
よく噛むことで唾液の分泌が増えて全身の健康に役立つ。
Q6
原始時代に虫歯は存在しない。

回答は以下になります。

Q1
ゼリー、ガム、アメのうち最も目の健康に良い食べ物はゼリーである。
A1
正解は、×

目のピントを調節する毛様体筋は、噛むために咬筋を使うことで連動して動き、鍛えられます。毛様体筋が鍛えられることで目のピントが合いやすくなります。

したがって、噛んで食べるガムが正解です。

Q2
歯で物を1回噛むと、脳に約3.5mLの血液が送られる。
A2
正解は、〇

歯で噛んだ時に歯の下にある歯根膜の血管が圧縮され、ポンプのように血液が脳に送られます。その量はひと噛みで約3.5mL。噛むことで、脳の血流が増加します。

Q3
自身の歯の本数は、健康寿命や医療費に影響しない。
A3
正解は、×

自身の歯が19本以下で入れ歯を使っていない人は、歯が20本以上残っている人に比べ、認知症のリスクが1.5倍、転倒リスクが2.5倍高いことが報告されています。また、歯が悪いとがん、脳梗塞、狭心症や心筋梗塞、肺炎などのリスクも高まることが知られています。元気で長生きするために、歯の健康は必須です。

歯が健康で歯の本数が多ければ、病気になりにくく健康寿命が延びると考えられています。

歯の本数と要介護でいる期間と健康寿命の関連のグラフ
※期間は、65~69歳、75~79歳、85歳以上での推定値の平均を示した。(n = 77,397) 出典:Matsuyama Y .et al. Journal of Dental Research 2017

このことは、医療費の差にも表れており、歯が健康で残存歯数が多いほど医療費が減少。20本以上と0~4本では、年間で175,900円もの差が生じていたとの報告があります。

残存歯数と医科医療費の関係のグラフ 出典:香川県歯科医師会「平成22年度香川県歯の健康と医療費に関する実態調査」

体の健康のためにも金銭的な負担を減らすためにも歯の健康を維持していきましょう。

Q4
歯の健康状態は、骨粗鬆症治療に影響しない。
A4
正解は、×

骨粗鬆症の治療で多用されるビスフォスフォネート製剤の使用経験のある方が、抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると「顎骨壊死」の副作用が発生するリスクが高まります。骨粗鬆症が心配な人は、歯の健康にも注意しましょう。

Q5
よく噛むことで唾液の分泌が増えて全身の健康に役立つ。
A5
正解は、〇

唾液は、食物を嚥下しやすくしたり、口の中の乾燥を抑える機能だけでなく、以下の様々な作用を持っています。

<唾液の作用>
  • 粘膜保護・自浄・水分平衡・潤滑・緩衝・抗菌・消化・組織修復
  • 歯の再石灰化・発ガン予防

唾液は、口腔のみならず身体が正常な機能を発揮するために必要不可欠です。よく噛んで唾液の分泌が増えると全身の健康に役立つと考えられています。

Q6
原始時代に虫歯は存在しない。
A6
正解は、〇

原始時代には、虫歯が存在しなかったとされています。原始時代の調理方法は焼くぐらいで、食べるものは硬いものばかり。硬い食べ物は歯に付着し難く(歯が汚れにくく)、また、噛む回数が増えることで唾液の量が多いために虫歯にならなかったと考えられています。

以上のQ&Aから、歯の健康が目や脳、骨に加え、全身の健康や健康寿命の長さにも関係していることが分かると思います。歯の健康を維持することは全身の健康を維持することにつながり、歯の健康維持は私たちに現代人にとって非常に大切です。

歯の健康を害する2大原因が歯周病と虫歯

日本人の歯を失う原因は、歯周病が37.1%、虫歯が29.2%と2つ合わせて66.3%と全体のほぼ2/3を占めています。

また、成人の約8割が歯周病にかかっている、45歳頃までに半分近くの歯が虫歯になっているとの報告もあります。どちらも私たちにとって非常に身近な病気です。

日本人の歯を失う原因のグラフ 出典:全国抜歯原因調査(2018年)

これらの病気には、その発生において2つの共通点があります。それが、「歯垢(プラーク)」と「菌」の存在です。歯垢は、口の中の様々な菌が増殖してできる白くてねがねばした菌の集合体で、歯みがきを怠り口の中が汚れると、歯にたくさん付着します。

虫歯は、歯垢の中の菌(ミュータンス菌)が糖質をエサにして酸を作り、その酸によって歯が溶けることで発生します。歯周病は、歯垢の中の菌(歯周病菌)によって歯肉が炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かしていく病気です。虫歯が進むと抜歯が必要になり、歯周病が進むと歯肉が後退して歯の根元が徐々に露出し、どちらも最終的に歯を失います。

歯周病と虫歯の共通原因

歯周病と虫歯は治療しても元通りにはならない。歯の健康は予防が大切!

虫歯の治療は、歯を削って消毒し詰め物やかぶせ物をするのが一般的です。こう書くと、キーンという歯を削る機械の音を思い出して嫌な気分になる人も多いでしょう。ほとんどの人にとって、苦痛のある治療だと思います。

虫歯が酷くなって完全に歯が失われた場合は、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどが行われます。これらの治療で歯の健康状態を取り戻せますが、歯が完全に元通りになるわけではありません。詰め物やかぶせ物、インプラントは、元の歯に比べると耐久性が低く、経年劣化していきます。

自身の歯>治療した歯の耐久性

歯周病の治療は、歯垢や歯石の除去に加え、歯茎を切開して歯周病菌に感染した歯肉の除去・再生が行われます。治療を行うことで歯周病は治癒しますが、後退した歯茎が元通りの状態になることはありません。(ヒアルロン酸を歯茎に注入して、歯茎の後退を治す治療がありますが、経時的にヒアルロン酸が吸収されて元に戻ってしまいます。)また、治療後にしっかり予防を行わないと必ず再発します。

歯周病治療後の歯の状態

歯の健康には、悪くなってからの治療ではなく、悪くしないための予防が非常に大切です。

元気で長生きするためにも、毎日しっかり歯をみがいて歯垢や菌を取り除き、歯の健康を守っていきましょう。

2020.11.30
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