体に良い油、悪い油 ①

食品に含まれる見えない油の危険性とは?

今回のテーマは、食品の油について。食品の油と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのが、サラダ油や肉に含まれる脂肪など。カロリーが高く食べすぎると太ることから摂取を控えている方も多いでしょう。

何かと悪者扱いされる油ですが、油は私たちの健康になくてはならない栄養素であり、必要不可欠なものです。
今回の健康情報では、3回シリーズで体内での油の働きや、油の種類、健康への影響をお伝えいたします。

びっくり!毎日カップ1/3強の油を飲んでいた?!

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の最新データ(2017年)の日本人の油脂摂取量は59g。サラダ油は大さじ1杯(15mL)が12gですので。サラダ油に換算すると、およそ74mL。大さじ5杯弱、カップ1/3強の量を摂っている計算になります。 こんなに油を摂っているつもりはないのですが、毎日コップに入れて飲むほどの油を摂っている事に非常にびっくりしました。但し、これは平均値のお話しです。肥満の方など、もっと油を多く摂っていると考えられます。

肥満の方はもっと摂っています

油をたくさん摂ってしまう原因が、「見えない油!」

油の摂りすぎはよくない。多くの人が認識しています。そして、人によっては、揚げ物を減らしたり、サラダ油などの調理油の使用量を減らしている方も多いでしょう。しかし、なかなか油の摂取量が減らないのが現状です。その理由は何か?

答えは、見えない油。様々な食品に含まれ、知らないうちに摂っている油です。ここで質問ですが、以下の食品を油の含量が多いもの順に並べてください。

主食
お菓子類

日本食品標準成分表2015年版によると、主食は以下の順になります。

主食の油の比率(重量%)と順位

バターの香りが食欲をそそるクロワッサン。非常に美味しいのですが、その油の多さにびっくり。なんと1/4以上が油で出来ている。パンは、作る時にバターを加えることが多く、全般的に油が多くなります。油で揚げたタイプの中華めん。こちらも非常に多い。 少ない方では、ご飯やうどんの少なさが圧倒的。パンは、バターやマーガリンを塗ることも多く、どうしてもパン食は油の量が増加しがちです。油の摂取量を減らすことを考えると、ご飯やうどんなどの和食が断然有利です。

日本食品標準成分表2015年版によると、お菓子類は以下の順。

お菓子類の油の比率(重量%)と順位

DVDの映画を見ながらポテチをつまむ。至福の瞬間ですが、なんと、食べた量の1/3以上が油だった!?びっくりしました。チョコレートも甘くて、砂糖が多いイメージがありますが、油も非常に多い。お菓子でも、和菓子の油が少ない。やっぱり日本食が良いですね。

このように私たちの食生活は、食品に含まれる目に見えない油の摂取量が非常に多くなっています。摂取量の約80%が様々な食品に含まれる見えない油といわれています。

油摂りすぎの問題点!肥満など生活習慣病と動脈硬化

油は、私たちの体を作る細胞の原料やエネルギーになる栄養素です。不足すると体の抵抗力が低下したり、エネルギーが不足して疲れやすくなったりする可能性があります。

無くてはならない栄養素ですが、皆さまご存知のように摂りすぎても健康に悪影響を与えます。そして、摂りすぎの方が多いのが現状です。油の摂りすぎによって体に油が溜まり、肥満やメタボリックシンドロームの原因となります。

放置すると高血圧・高血糖・脂質代謝異常などを発症して、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクが高まります。日本における肥満者の割合の最新データ(2017年)は、男性31.3%、女性20.6%と非常に多くの方が肥満の状態です。これらの方は、全体的に食べる量を抑えると共に、油の摂取状況を改善頂くと良いでしょう。

日本人の肥満者の割合 男性31.3% 女性20.6%
2019年05月31日
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