リスク回避には、中強度の運動が必要...
ノルウェーのスポーツ大学で行われた研究9)により、早歩きなど、息が弾む程度のややきついと感じる中強度の運動を1日60~75分行う必要があると報告されています。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン -- JAIE KOHTA 著今回のテーマは、座る生活と健康や余命の関係について。
日本は、現役世代、高齢者世代ともに、座っている時間が非常に長く、座りっぱなし大国と言われているのをご存じでしょうか。
今回は、" 座りっぱ " による健康や余命への悪影響とその対策についてお伝えします。
座りっぱとは...全く立ち上がらずに非常に長い間座り続けること。座りっぱなしと同義語。
余命とは...残りの命。これから先残っている命。平均余命は今年生まれた子供の平均寿命です。平均寿命を100歳とした場合、60歳の平均余命は40歳です。
テレビ視聴、デスクワーク、読書、ネットサーフィン、スマホを見たりする時は、基本的に座っていると思います。
このような座る時間が多い日常を続けると、健康が損なわれ余命が縮むことをご存じでしょうか?
このことは、実際に研究が行われ以下のように報告されています。
ところで、私たちは毎日どれくらい"座りっぱ"を続けて、その結果、私たちの余命はどれくらい縮んでいるのでしょうか。
豪シドニー大学Bauman氏らの調査(2011)6)により、日本は、平日の1日の「総座位時間」が世界で最も長い国と報告されています。
平均が5時間であったのに対して、日本は7時間と2時間も長かったそうです。
活動量計を用いた筑波大学の柴田愛准教授らの研究7)によると、日本の高齢者の1日の「総座位時間」平均は8.8時間であるとの報告があります。
あくまで計算上の数字ですが " 座りっぱ " 1時間で余命が22分間縮むとの報告と、総座位時間の報告から算出すると、こんなにも余命が縮むことが分かります。
現役世代は仕事で平日に1日7時間座り、1週5日間で算出。
※1週間(月~金曜日の5日間)/1ヶ月(4週間)/1年間(52週間)
高齢者世代は仕事を引退し、毎日同じように過ごしていると考えられます。1日8.8時間座り、1週7日間で算出。
※1週間(7日間)/1ヶ月(4週間)/1年間(52週間)
余命が短くなるのは、誰もが嫌ですが、ご高齢の方はより嫌なことでしょう。
座る時間が長い最大の原因は、現役世代ではデスクワーク、高齢者世代では、疲れやすいなどの理由で、体を動かしたり歩くことが辛いためと考えられます。
更にテレビやエアコンのリモコン、スマホで照明や扇風機などの家電を一括して操作できる道具が開発されて、立ち上がらなくても済むシーンが増えています。
また、ネット通販を利用すれば、店舗に行かずとも玄関まで商品を届けてくれます。
どんどん便利になる生活が、座る時間の増加を促していることは、間違いないと思います。
健康で余命を伸ばすには、便利で動かなくなった分、自身で意識して体を動かしましょう。
では、どれだけ体を動かせば良いのでしょうか。
健康のために、ジョギングやトレーニングマシンで週5時間(1時間×5回など)程度、汗を流しているという方もいらっしゃるかもしれませんが、その程度では、" 座りっぱ " のリスクを完全に回避することは出来ないと考えられています。
前記の運動を行っても、1日の座っている時間が11時間を超える人は4時間未満の人に比べて総死亡リスクが57%増加するという研究8)で結果が報告されています。
ノルウェーのスポーツ大学で行われた研究9)により、早歩きなど、息が弾む程度のややきついと感じる中強度の運動を1日60~75分行う必要があると報告されています。
WHO身体活動・座位行動ガイドライン -- JAIE KOHTA 著毎日1時間以上の運動を行うのは、仕事を持つ人には時間的にも精神的にも困難な場合が多く、
また、ご高齢の方もなかなかきついと思います。
では、仕事柄などの理由でリスク回避ができない方は、どうすれば良いのでしょうか。
時々立ち上がって動き、" 座りっぱ " を中断することです。
オーストラリアで行われた研究10)では、7時間座りっぱなしのグループと、2時間座り続けた後に20分毎に2分づつ立ち上がって歩いて後座るを7時間まで繰り返した後の血糖値を測定しました。
その結果、立ち上がって歩いた方の血糖値が低くなりました。
仕事中など、20分毎というのはなかなか困難ですが、できれば30分に1回3分ほど、最低でも1時間に1回5分ほど立ち上がってトイレに行ったりと動くようにしましょう。
座る生活と健康や余命の関係についてご紹介しました。
座りっぱなしで動かない生活は、糖尿病や肥満などの生活習慣病を促進して健康を害し、余命を縮めます。
科学技術の進歩により、生活が便利になって動かなくてもよくなっていますが、健康のためには、あえて立ち上がり動くようにしましょう。