お酒で記憶をなくすことは、武勇伝それとも・・・②

お酒を楽しく健康的に飲む方法は?

今回のテーマは、お酒の体への影響について。前回の健康情報では、お酒の体への影響、アルコール代謝のしくみ、お酒の適量についてご紹介しました。

今回の健康情報は、お酒を健康的に楽しむ方法をご紹介すると共に、お酒に関する様々な疑問についてお答えします。

お酒が百薬の長と言われる理由

飲み過ぎると健康に悪影響を与えるお酒ですが、百薬の長と言われるように適量であれば健康に良いとされています。

お酒の健康への効果

これらの効果は、死亡率と飲酒量の関係で確認されています。

お酒を適量飲むと死亡率が下がり、適量を超えて飲み過ぎると死亡率が大幅に増加します。グラフの形によりJカーブ効果と呼ばれています。

Jカーブ効果

健康のためにお酒は、個人に応じた適量をたしなむことが大切です。

怖いお酒の害と身を守る方法とは?

多量飲酒は、以下のように全身に様々な病気を引き起こします。

多量飲酒が全身に引き起こす様々な病気

これらの病気は、急性のものと慢性のものに分けられます。

急性の害は、過量のお酒を短時間で飲んだ場合に血中のアルコール濃度が上がり過ぎて起こる急性アルコール中毒や主にアセトアルデヒドによって引き起こされる悪酔い、二日酔いです。

急性アルコール中毒では、意識が混濁し、呼吸麻痺や吐いたものがノドにつまることで死に至るケースもあります。

慢性の害は、適量を超える量のお酒を長く飲み続けた場合に発生します。まず思い浮かべるのがアルコールを代謝する肝臓の障害。肝炎や肝硬変を経て、肝臓がんに発展することもあります。慢性の害は、肝臓の障害に留まりません。肝臓以外のほとんど全ての消化器、神経、筋肉、循環器など全身のさまざまな臓器にも障害を引き起こします。

これらの害の最大の原因は、アルコールとアセトアルデヒド。共に肝臓で分解されます。お酒の害から身を守るには、自分の適量を超えてお酒を飲まないように気を付けることに加え、肝臓の健康や調子を保つことが非常に重要です。

どうしても飲み過ぎの傾向がある方は、飲む前後に肝臓の機能を強化したり、肝臓を守るとされる食材や健康食品を摂るのも良いでしょう。

お酒と健康のウソ・ホント

Q1
お酒を飲み過ぎると薄毛になる?
A1

答えはホントです。

アルコールを分解する際に、育毛に必要なアミノ酸を消費するため、大量に飲めばそれだけ髪に行く栄養が減ってしまいます。

お酒を大量に飲んでいると熟睡ができないために、髪の成長や補修に必要な成長ホルモンが十分に分泌されません。

二日酔いや悪酔いの原因となるアセトアルデヒドは、薄毛の原因と言われるヒドロテストステロン(DHT)を増加させる働きがあるといわれています。

いくら高い育毛剤を使っても、お酒を飲みすぎていては根本的な薄毛対策になりません。お酒はほどほどにしましょう。

Q2
長年飲み続けるとお酒に強くなる?
A2

答えは、半分ホントです。

アルコールを分解する酵素の活性が低い人は、お酒を飲んでいるうちに、だんだんと酒量を上げても酔いにくくなってきます。これは、飲酒を続けるうちに、肝臓でのアルコールの代謝速度が速くなっていくのが一つの理由ですが、それに加え、脳のアルコールに対する反応のしやすさが変化することも影響しています。つまり、脳の神経がアルコールに順応し、アルコールの酔いに対する耐性が上がるのです。

但し、アセトアルデヒドを分解する酵素の活性が高い人並みに強くなることはなく、また、飲むのを止めると元に戻ってしまいます。

Q3
お酒を飲むとがんになるリスクが上がる?
A3

答えはホントです。

2007年にWHO(世界保健機関)は、飲酒が口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房のがんの原因となると発表しました。

また、米臨床腫瘍学会のがん予防委員会より「飲酒はがんの危険性を高める可能性がある」として、2018年1月にアルコールを飲み過ぎないよう注意を呼び掛ける声明が出されています。

Q4
未成年者の飲酒は、脳にダメージを与える可能性が高い?
A4

答えはホントです。

アルコールによる脳の神経細胞の障害作用は、成人よりも脳が成長中の未成年者のほうが大きい事が分っています。特に記憶に関わる海馬に対するダメージが大きく、これによって記憶機能が低下する可能性があります。

成人年齢が18歳に引き下げられることが決まっていますが、飲酒可能な年齢が20歳のまま変わらないのはこのためです。

2021年05月31日
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