ええっ、そうだったの!意外な入浴の新事実 ①

入浴に関するQ&A、あなたは全問正解できる?

今回のテーマは、入浴について。

以下の入浴に関する質問に答えていただきながら、入浴に関する最新の研究結果をご紹介すると共に、その健康への効果をお伝え致します。

入浴に関する質問

以下の質問にお答えいただいた後に、回答及び解説にお進みください。

質問1

内容が正しいか間違っているか、×でお答えください。

Q1
毎日入浴する高齢者は介護リスクが3割減少
Q2
入浴前後にコップ1杯の水を飲むと健康に良い
Q3
浴槽に入る前にかけ湯をすると健康に良い
Q4
風邪気味のときは入浴で免疫力をアップすると良い
Q5
半身浴は全身浴より健康に良い入浴法である
Q6
ぬるめのお湯で長く浸かるほど温まって健康に良い

質問2

最も健康に良いお風呂の入り方を選んでください。

Q1
手抜き風呂ぬるめのお湯に短時間浸かる入浴
のんびり長風呂ぬるめのお湯に長時間浸かる入浴
江戸っ子風呂熱めのお湯に短時間浸かる入浴
熱中症風呂熱めのお湯に長時間浸かる入浴

回答及び解説

質問1

内容が正しいか間違っているか、×でお答えください。

Q1
毎日入浴する高齢者は介護リスクが3割減少
A1

正解は、「」。

入浴で要介護が減少する

千葉大学の八木明男氏らの研究グループより、夏の浴槽入浴頻度が週7回以上の場合、週0〜2回と比較して28%の要介護リスクの減少がみられ、同様に冬では29%のリスク減少がみられたとの研究結果が発表されています。1)

入浴で要介護が減少する要因として、研究論文では、以下の健康への効果などを挙げています。

【入浴で要介護が減少する要因】

  • 入浴によるリラックス効果が抑うつや認知機能低下を予防
  • 体温上昇に伴うヒートショックプロテインの産生による抗炎症作用や細胞保護効果
Q2
入浴前後にコップ1杯の水を飲むと健康に良い
A2

正解は、「」。

お風呂に入ると温まって汗をかきます。すると体内の水分が減少し、血液の水分も減少して粘度が高まります。いわゆる「血液ドロドロ」の状態です。

汗をかいても必要な水分を失わないよう、お風呂に入る前に1杯、出た後に1杯、水を飲むことが健康にとって大切です。

入浴前後にコップ1杯の水を飲む
Q3
浴槽に入る前にかけ湯をすると健康に良い
A3

正解は、「」。

日本人ならばほとんどの方が「かけ湯」をしてから浴槽に浸かっていると思いますが、なぜ「かけ湯」をするのでしょうか。かけ湯には、2つの意味があると考えられます。

1つ目が、血圧の急上昇を抑えるという目的です。内臓から遠い部位、足先から順番に「かけ湯」をすることで、体がお風呂の温度や刺激に対応できるようになり、血圧の急上昇を抑制できます。

2つ目が、体の汚れを落としてから入浴するというマナーです。日本人の入浴は、お湯を入れたお風呂に順番に入ります。次の人が入るときに新しいお湯を張ることは、ほとんどありません。ですので、次に入る人のことを考えて、湯船のお湯を汚さないようにかけ湯で体の汚れを落とします。

1つ目の目的により、かけ湯を行うことがより健康に良いことが分かります。

浴槽に入る前のかけ湯
Q4
風邪気味のときは入浴で免疫力をアップすると良い
A4

正解は、「」。

38℃以下の熱で体調がさほど悪化していなければ、40℃前後のお風呂で回復が早まる効果があります。

体内温度が上がることで免疫力が上がり、蒸気が鼻や喉の粘膜についたウイルスを弱らせ、回復を早めるだけでなく症状の緩和も期待できます。

免疫力が上がりウイルスを弱らせる
Q5
半身浴は全身浴より健康に良い入浴法である
A5

正解は、「×」。

半身浴は、冷えを感じる人やむくみ予防や解消に良く、また、ダイエットや美肌などにも良いとされ、特に女性の間で広く行われてきました。しかし、ここ最近は半身浴が、全身浴より劣ると評価されています。

全身浴はリラックス効果が高い

半身浴の効果として主に「ダイエット」、「デトックス」、「リラックス」が挙げられてきました。しかし、100分間の半身浴で消費されるカロリーは、わずか16キロカロリー。体重や歩く速度にもよりますが、1時間のウオーキングの消費カロリーは160~200キロカロリーです。半身浴を行うことによるダイエット効果は、ほとんど期待できません。

老廃物の排出ルートは、便が75%、尿が20%、残りの5%が汗や髪の毛などです。汗から排出される老廃物は、わずかな量であり半身浴をして汗をかいてもそのほとんどはただの水分で、老廃物は少ししか排出されていません。

半身浴で汗をたくさんかいても、デトックス効果はほとんど期待できません。

リラックスに関しても、全身浴により浮力を感じることで脳にα波が出てリラックスしやすくなることが分かり、浮力の少ない半身浴は、全身浴に劣ると言われています。

全身浴の前に、短時間の半身浴を行うことでかけ湯と同様に体をお風呂の温度や刺激に慣らすことは可能と考えられており、短時間の半身浴の後に全身浴を行うと良いでしょう。

以上のように過去にブームになった半身浴は、現在では、補助的に行う以外はあまり意味のない入浴方法と考えられており、全身浴の方が健康的との見方が主流になっています。

但し、心臓や呼吸器などの疾患がある方については、全身浴は胸に水圧がかかって病状に悪影響を及ぼす可能性があり、半身浴が推奨されることがあります。

このような方々は、適切な入浴方法について主治医に相談頂くと良いでしょう。

Q6
ぬるめのお湯で長く浸かるほど温まって健康に良い
A6

正解は、「×」。

長時間の入浴により、温められた血液が全身をめぐる回数が増えるほど、体はじっくりと温まって、血のめぐりがよくなります。しかし、同時に以下のリスクも大きくなっていきます。

【長風呂のリスク】

  • 肌のうるおい成分が流れ出すことで、乾燥肌の原因になる。
  • 汗を大量にかくことで、脱水症状を起こしやすくなる。
  • 汗を大量にかくことで、血液ドロドロによる心筋梗塞のリスクを高める可能性がある。
長風呂はリスクが高い

お風呂に浸かる時間は、長ければ長いほど良いというわけではありません。適切な入浴時間を心がけることが大切です。

質問2

最も健康に良いお風呂の入り方を選んでください。

Q1
手抜き風呂ぬるめのお湯に短時間浸かる入浴
のんびり長風呂ぬるめのお湯に長時間浸かる入浴
江戸っ子風呂熱めのお湯に短時間浸かる入浴
熱中症風呂熱めのお湯に長時間浸かる入浴
A1

正解は、「手抜き風呂」。

東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授により、入浴方法が上記の4タイプに分類され、「手抜き風呂」が一番健康に良いと報告されています。
【リンナイ調べ】2)
(早坂信哉教授の分類では、「手抜き風呂」を「健康手抜き風呂」としていますが、質問の正解が分かってしまうため、「手抜き風呂」と紹介しました。以降は、「健康手抜き風呂」と記載します。)

次回の健康情報では、タイプ別の入浴方法の長所や短所、入浴の三大効果を紹介しながら、最も健康的と考えられる入浴方法について考察します。

参考文献
1)Yagi A, Hayasaka S, Ojima T, Sasaki Y, Tsuji T, Miyaguni Y, Nagamine Y, Namiki T, and Kondo K. Bathing Frequency and Onset of Functional Disability among Japanese Older Adults: A Prospective 3-year Cohort Study from the JAGES. Journal of Epidemiology 2018(In press)
2)Rinnai. ~入浴科学者早坂信哉先生監修入浴のタイプ別診断公開~ 安全かつ健康な入浴は"時間10分以下×温度40℃以下" 推奨したい「健康手抜き風呂」を実践している人は約2割.Rinnai NEWS LETER 熱と暮らし通信 2017/11/6
2019年12月26日
TOP